2019年4月21日日曜日

テスト駆動英語学習(TDEL)の問題集の外観と分散学習アプリAnkiの威力

 テスト駆動英語学習(Test-driven English Learning:TDEL)とは、テストファースト、分散学習(Spaced Repetition)を基本戦略(3月23日記事)とした私の学習手法ですが、前々回の記事前回記事の2回にわたりその情報ソースを紹介しました。今回は、問題集の作り方に入る前の序章として、問題集の外観を示し、分散学習アプリAnki(3月31日記事)の威力を紹介します。

本題に入る前に
(1)分散学習アプリAnkiについて
 Ankiのインストール方法や等については、以下サイトを参照してください。
 公式サイト:https://apps.ankiweb.net/
 AnkiWeb:https://ankiweb.net/about 
 ※ PCとスマホを同期させるためのアカウントの作成
 日本語マニュアル:https://wikiwiki.jp/rage2050/
(2)3月31日記事の補足
 記事では「今年の3月10日からは、EvernoteからAnkiに切り替えて、英語学習の新たなスタートを切っています。」と書きましたが、実際に使い始めたのは、その前日3月9日(私の48歳の誕生日)からです。本日で44日目に突入しました。

問題集の外観
 Ankiを使い始めて44日目に突入した時点での感想ですが、分散学習、Ankiは良いです。これを使い始める3月8日以前にはあったテスト結果の記録、学習計画のコストが劇的に減り、自分の時間をテスト結果の振り返り、読書・情報収集、そしてこのブログの執筆にあてられるようになりました。問題集のメンテナンスコストは以前と同様にあります。これは今後の課題です。前置きが少し長くなりました、本題に移ります。
 現在 Ankiに登録済みの問題数は807問(3月9日~4月18日に登録)ありますが、横軸に問題文の長さ(語数)、縦軸に度数をとると下図の分布になります。グラフでは、最短2語から始まり、7語をピーク(135問)に、ロングテールを描きながら最長32語まで伸びています。前々回の記事で提示した「思ったことを話せるようになる」ための問題集の2つの特性ー(1)問題文の長短混在、(2)語彙の広がり(出現頻度の高低の混在)―のうち、特性(1)を問題集が持っていることがわかります。特性(2)については、Anki登録の問題数(現在 807問)が2000問に到達した時点で、別途評価します。
図1:Anki登録済みの問題文(807問)の分布
(注記) 吹き出し内の問題文(英文)は、アンダーライン部分を隠した穴埋め問題

グラフには最短と最長の問題は具体的に何かを表示しています。最短(2語)の問題文は、すこし気恥ずかしいですが「静かにしなさい」/"Be quiet."です。
 一方、最長32語の問題文(二つの文からなる)は、前回記事で問題集の情報ソースとして紹介した"Steve Jobs’ Speech, June 2005"からの味わい深いエントリです。本題から逸れますが、最長32語の問題文を、前提を含めて解説します。Jobsは、高卒の労働者階級の夫婦に養子としてもらわれましたが、育ての親は生みの母親との約束もあり、Jobsを大学に進学させます。Jobsは、大学に入ると、労働者階級の両親の給料のほとんどが、自分の大学の授業料に消えていくのを見て、苦しみます。そして思い切って退学します。ここからがすごいのですが、Jobsは大学を中退してからももぐりの学生として居座り、自分の好きな授業だけに通い始めます(私には、維新時代にもぐりの学生として神戸海軍操練所に通った坂本龍馬と重なりました)。彼は、ただ好きだという理由だけで、カリグラフィ(英語版の書道)の世界にのめりこみます。やっと最長32語の問題文の和訳を紹介する準備が整いました。問題文和訳は、次のようになります。「このこと(=カリグラフィから学んだこと)はどれも, 私の人生に実践的に応用できる希望さえありませんでした. しかし10年後, 最初のマッキントッシュコンピューターを設計していたときに, そのすべてが私の中に蘇ったのです.」スピーチを構成する1つめのストーリー”connecting the dots"のクライマックスの文です。このあと、Jobsはこう言います。「繰り返します, あなたは将来を見据えて点と点をつなげられません. あなたはあとで振り返ることでしか, それらをつなげることができません. なので, あなたは、点と点が、将来に何らかの方法でつながると信じなければなりません.」/"Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future." 要は、今やっている事が自分の将来にどうつながるか予測できないけど、必ずつながると信じてやりなさい、ということです。私もこの話に感銘を受けて、このブログをはじめました。少し熱くなってしまって、本題から逸れたことを長々と解説してしまいました。
 以上、私の問題集の外観を、長い余談を入れつつも紹介しましたが、以下では図1で挙げた最長・最短の問題文も織り交ぜつつ、Ankiの威力を紹介します。

分散学習アプリ Ankiの威力
 当初は、テスト結果の記録、各問題の復習の計画を全て自分の手と頭でしていた私が、これまでAnkiを使って感じた威力は、大きく2つあります。

(1)それぞれのカード(=問題)の難易度、記憶の定着度に応じた復習間隔の決定
 これは、絶対に自分の手と頭だけではできません。例えば、上記で挙げた最短の問題文"Be quiet."(2語)と最長の問題文"None of this ... to me."(32語)のカード情報から学習履歴を抜粋すると、下図のようになります。

図2:Ankiのカード情報の抜粋-学習履歴

 最短の問題文"Be quiet”(2語)は、2019-03-22に初めて学習し、初回も含めてこれまで3回学習しました。直近の学習日2019-04-11時点での復習間隔は1.7か月、次の学習予定日(図には表示なし)は、2019-06-01です。一方、最長の問題文"None of this ... to me."(32語)は、2019-04-04に初めて学習し、これまでに11回学習しました。直近の学習日2019-04-20(昨日)時点の復習間隔は3日、次の学習予定日は、2019-04-23です。このように、問題文の記憶の定着度によって復習間隔は大きく異なります。Ankiは、現在登録済みカード807枚すべてについて、それぞれの復習間隔を決定してくれています。
 繰り返しますが、このような個別の復習計画の作成は、絶対に自分の手と頭だけではできません。アプリに任せるべきです。

(2)統計情報を利用した全体的な記憶の定着度の確認
 学習しているとやはり全体的な記憶の定着度を知りたくなります。これまでですと自分が作った問題集から無作為抽出して定期テストを作成・実施するというのが妥当な方法でしたが、それには相当なコストがかかりました。
 Ankiを使用した学習では、面倒な定期テストは必要ありません。Ankiがカード(=問題)別に決定している復習間隔(=記憶の定着度)を統計情報表示機能を使って確認するだけで、全体的な記憶の定着度を確認することができます。それが下図になります。
図3:Ankiの統計情報ー復習間隔(=記憶の定着度)

 このグラフは、図1-Anki登録済みの問題文(807問)の分布を、復習間隔(=記憶の定着度)という別の視点で表したものになります。現在は平均の復習間隔が26日間(3.7週)で最大間隔が3.5か月です。全体的な記憶の定着が進むと、このグラフが少しずつ右に伸びていきます。今後が楽しみです。
 上記のように全体的な記憶の定着の統計機能を使って確認することができるため、学習のモチベーション維持、次の学習計画の検討が容易になります。

(補足1)易しさ:復習間隔を決定する指標
上記(1)では、Ankiの威力としてそれぞれのカード(=問題)の難易度、記憶の定着度に応じた復習間隔の決定をあげましたが、その復習間隔を決定する指標として「易しさ」をAnkiは管理しています。この指標は、Ankiを使用していると随所にでてくるため、ここで少し補足します。
 まずは3月31日の記事おさらいになりますが、スマートフォン(Ankidroid)で問題の解答を表示すると、下図のように画面下部に「もう一度」「難しい」「普通」「簡単」という4つのボタンが表示されます。
図A1:スマートフォン(Ankidroid)の解答表示画面

易しさは、初期値:250、最小値:130の指標で、値が大きければ簡単、値が小さければ難しいことを示します。上図の画面下部の解答評価ボタン「もう一度(=不正解)」「難しい」を押せば易しさの値は減少し、「普通」を押せば易しさの値はそのまま、「簡単」を押せば易しさの値は増えます。
 各ボタンと易しさの増減、学習間隔の関係は、下図のようになります。

図A2:解答評価ボタンと易しさの増減、学習間隔の関係

(補足2)ブラウザ:カード情報の確認
 Ankiには、カードの情報を確認、更新できるブラウザ機能があります。下図に示すブラウザの画面では、最長の問題文"None of this ... to me."(32語)のカード情報を選択しています。この画面では、(補足1)で説明した「易しさ」の小さい順(難しい順)にソートしています。最長の問題文"None of this ... to me."(32語)が、上から数えて7番目に易しさの値が小さい(=難しい)ということが確認できます。
図A3:ブラウザによるカード情報の表示

簡単なまとめ
 以上、テスト駆動英語学習(TDEL)の問題集の外観では、Anki登録済みの問題文(807問)の分布を紹介し、「思ったことを話せるようになる」ための問題集の特性の1つである「問題文の長短混在」が実現されていることを示しました。分散学習アプリAnkiの威力では、Ankiをこれまで使用して感じたその2つの威力-問題の記憶の定着度に応じた復習間隔の決定、統計情報による全体的な記憶の定着度の確認-を紹介しました。
 次回は、いよいよ、問題集をどうやって管理するか、どうやって作成するかについて具体的な解説に入っていきたいと思います。

それでは、また! by a2c

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