2019年5月20日月曜日

発音・イントネーションの確認:Google Translate+α (Sound of Text)

 前回の投稿までは、私の学習方法であるテスト駆動英語学習(TDEL)の一通りの流れを、基本戦略(3/23記事)に始まり、分散学習アプリ Anki(3/31記事)、情報ソース(4/7記事、4/14記事)、問題集(4/21記事、4/28記事)、そして振り返り(5/5記事、5/12記事)と紹介してきました。今回の記事では、Google Translateを利用した発音・イントネーションの確認を紹介します。

発音の確認の位置づけと課題
 5/5記事で紹介しましたが、人の脳内の言語に関する中枢には、文法、読解、単語、音韻の4種類があります。これまでの記事では、主に文法、読解、単語に関わる内容が多かったですが、今回の記事は音韻の中枢強化に関わります。
 私の学習の目的「思ったことを英語で話せるようになる」を果たすためには、当たり前ですが音は重要です。相手が発話した内容を正しく聞き取れて、それに対する返答を相手が認識できる品質で発音できなければ会話は成立しません。このためには、TDELの問題の作成・テストの実施・テストの振り返りの過程を通して、適切な頻度で単語の発音、センテンスのイントネーションを確認し、自分の音韻中枢にフィードバックする必要があります。
 発音・イントネーションのフィードバックの理想はテストのたびに信頼できる音源を確認することです。私が知る中で最も信頼できる音源は教科書添付の音声メディア(CD or ファイル)ですが、これには以下の課題があります。
  • 教科書添付の音声ファイルをMP3形式に変換し、問題文毎に分割し、Ankiに登録するのは手間がかかりすぎる。
  • 問題文によっては、音源が無い、または音源はあるがファイル形式で入手できないものがある。
 上記の課題を考慮すると、膨大なテストの問題文の発音・イントネーションの確認は、テキスト読み上げツールの利用が妥当だと考えています。

Google Translate
 テキストの読み上げツールは多々ありますが、私が知る中で最も手軽で強力なのはGoogle Translateです。
 その理由は、以下の3点です。

  • 無料で利用できる。
  • Android最新版の場合は、アプリをインストールしなくても利用できる。
  • Googleの膨大なデータの分析により、日々読み上げの精度が進歩しているはずだし、今後もそれが続く期待が持てる。

 私のスマートフォン(Android最新版)では、以下の手順でGoogle Translateによるテキスト読み上げを利用しています。

(1)事前準備:Googleテキスト読み上げの有効化
 TOPメニューに表示されている設定メニュー(歯車のアイコン)を選択して、その下のメニューをシステム⇒言語と入力⇒詳細設定⇒テキスト読み上げの設定⇒優先するエンジン、の順序でたどり、Googleテキスト読み上げエンジンを選択する。事前準備はこれだけです。(旧OSの場合は、Google Playからアプリの入手が必要)

(2)テキスト読み上げ:Google Translateの利用
 2つのステップで画面上のテキストの読み上げができます。
  • ステップ1:画面上で読み上げさせたい文をタップして選択すると「ウェブ検索、翻訳」メニューのリストが表示される(図1)。リストの「翻訳」を選択するとGoogle Translateウィンドウが開く(図2)。

図1:Google Translate利用ステップ1
読み上げ文の選択


  • ステップ2:Google Translateウィンドウ上部の英文の先頭にあるスピーカアイコンをタップすると、テキストが読み上げられる(図2)。


図2:Google Translate利用ステップ2
音声の読み上げ

 私は、Ankiのフラッシュカードで問題をといたあと、発音を確認したいときにこのGoogle Translateを使っています。無料で、翻訳の精度も読み上げの精度も日々進歩しており、今後もそれが見込める。これを利用しない手はありません。

Sound of Text
 Google Translateのテキスト読み上げの音声をMP3形式でダウンロードできるWEBサイトです。WEBサイトで紹介されていますが、元々は、サイトオーナー自身がAnkiのフラッシュカードに添付する音声を作成するために個人的に作ったようです。



図3:Sound of Text (MP3作成後)

 図のように、Textボックスにセンテンスを入力して"Submit"ボタンを押すと、その下に"Sounds"というエリアが表示されてMP3ファイルがダウンロード可能になります。
 結構使えるサイトですが、1000を超えるAnkiのフラッシュカードの音声作成・添付となると、一括して処理する仕組みが必要だと感じています。

 以上、Google Translateを利用した発音・イントネーションの確認+α (Sound of Text)の紹介でした。
 それではまた! by a2c

2019年5月12日日曜日

テスト駆動英語学習(TDEL)-テストと振り返り後編:本当に正しいかより、自分が納得したかを重視

 前回記事では、テスト駆動英語学習(TDEL)の振り返りの前編として、テストと振り返りの全体の流れ、特徴について述べました。今回は後編として、テストと振り返りの具体的な内容に入ります。

1. 自分が納得したか?(私の心構えの変遷)
 テストの振り返りの具体的な説明に入る前に、テストの振り返りに対する私の心構えの変遷を述べます。
(1)「本当に正しいか?」の時期
 このブログの主題の一つに「どうやったらあまりお金をかけずに英語を習得することができるだろうか」がありますが、実をいうと、私は2018年4月初めから2019年1月末まで10か月間、ある英会話スクールの個人授業に月4回のペースで通い、月2万円後半のお金をかけて学習していました。テストファーストな英語学習は2018年の5月からEvernoteを使って開始していたので、テストで出た問いに対する答えは、ネーティブスピーカーの先生に確認していました。これには良い面と悪い面がありました。
 まず、良い面です。私にはなかった感覚を教えてもらえました。例えば、3月31日の記事でも述べた「(何かの)概要を説明する」"give an overview (of something)"という表現。自分のアイディアの概要を説明する際、"talk about"の後には"the overview  (of something)"が続くことは知っていたので、"give"の後にも当然 "the overview"がくると思っていました。しかし、先生に確認すると"an"の方が適切らしく、"the"をつけると違和感(聞き手が解釈する余地を与えない高圧的な感じ)を覚えるらしいのです。このように私にはなかった感覚を学ぶことができました。
 次に、悪い面です。これは私の振り返りに対する心構えの問題でした。日々のテストで出た問いに対して「本当に正しいか」に固執するあまり、なんでもかんでも週一回しか会わないネーティブの先生に確認を取っていました。その結果、日々発生する問いのリストはどんどん溜まっていきました。いま思うと、問いに対する答えはタイムリーに出して、テストにフィードバックするのが重要であったにも関わらずです。

(2)「本当に正しいか?」から「自分が納得したか?」へ
 英語会話スクールは子供の教育費優先のため2019年1月末にやめましたが、いま思えば学習に対する自分の主体性を持つという面では、良い区切りでした。2019年2月以降は、インターネット上の辞書(オンライン)やブログ記事を検索して調べることで解消しています。これは、前回記事でご紹介した現在のスタイルです。切り替えた当初は、インターネットの情報だけでは本当に正しいかどうかは分からず、少し手こずりました。今も「本当に正ししいか?」という点で状況は変わっていませんが、振り返りに対する考え方を変えることでこのプロセスの速度を改善しています。
 「本当に正しいか?」から「自分が納得したか?」への考え方の変更です。私は日本語のネーティブスピーカーですが、言葉の読みをずっと間違えていたり、正確な意味を知らずに使ってしまうことがあります。このことで、すごく恥ずかしい思いをした経験は何度かありますが、まずまずのレベルで日本語を話せます。理想を言えば、すべての言葉の読みと意味を正しく話したいものですが、思い返してみるとそれにもまして重要なことがあります。「自分ならこう言う」が確立されているかどうかです。
 この気づきによって、今の振り返りでは、ある英語表現の選択肢に対して、自分ならこう言うと納得したかを重視しています。テストで出た問いを納得するまで調べれば、悪くとも8割~9割は正しい、8割~9割正しければ英語での会話は十分に成立する、という考え方です。

2. 振り返りの具体例
 以下では、初めに問題・解答・振り返りのフォーマットを示した後、ピックアップした10の振り返り例を紹介します。(振り返りの具体例ということで、ネーティブの先生に確認したケースも掲載)

(0)問題・解答・振り返りのフォーマット
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[Front]         ※ Ankiの問題フィールド
 <ID>         ※ 問題集より
 <問題文(日本語)>    ※ 問題集より
[Back]         ※ Ankiの解答フィールド
 <問題文(英語>      ※ 問題集より
 <ノート>              ※ 問題集より(振り返りの結果-本稿の主役)
-----------------------------------------------------------
・4月28日の記事で問題集管理テーブル、Ankiカードのフォーマットを紹介しました。
・上記のフォーマットは、Ankiカードの2つのフィールドに、問題集管理テーブルの4つのフィールドの内容を記述したものです。
・この中の主役は、[Back]フィールドに記述した<ノート>フィールドの内容です。
・それでは、このフォーマットに従って、10の振り返り例を紹介します。

(1)写真描写の表現:関係代名詞"who"を削っても同じ意味
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[Front]
 0010
 左から2番目に座っている女の子
[Back]
 the girl who is sitting second from the left
 (ALSO the girl sitting second from the left)
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・「左から2番目に座っている女の子」(名詞句)という写真描写に使う表現の問題です。
・振り返り1行目 "(ALSO ...)":解答"the girl who is sitting second from the left"は、関係代名詞の部分"who is"を削っても同じ意味。

(2)写真描写の表現:前置詞を削ると違和感が出る
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[Front]
 0024
 何人かの人が大型ボートから降りているところだ.
[Back]
 Some people are exiting from a vessel.
 (ALSO are getting off a vessel)
 (△ are exiting a vessel)

 exit from sth: 船、電車のような大きな乗り物から降りる(from追加)
 ⇒ ""exit sth"" (from削除)でも文法上は正解だが違和感あり
 (ネーティブの先生に確認)
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・これも写真描写表現(大型ボートから何人かの人が降りているところ)
・振り返り1行目"(ALSO ...)":"get off"((電車や船から)降りる)を使った表現を追加。
・振り返り2行目"(△ ...)":意味は通じるけど正解ではないという意味で"△"を付けています。動詞が"exit"なので前置詞"from"は無くても良いと良い思いましたが、"from"を削ると違和感がでるようです。(英会話学校で先生に聞いたもの)

(3)ダイエット"diet"のコロケーション(句動詞)
-----------------------------------------------------------
[Front]
 0201
 私は, 本当にダイエットをする必要がある.
[Back]
 I really must go on a diet.
 (ALSO really have to)
 (✖ get on a diet)

 get on: "diet"を始める意味にはならない(Longmanコロケーションに無い)
-----------------------------------------------------------
・自分のダイエットの必要性を訴えた問題です。
・振り返り1行目"(ALSO ...)":"必要がある"の別表現"have to"を追加。("must"と"have to"は必要性の強さに違いがありますが、どちらも「必要がある」なので良しとしている)
・振り返り2行目"(✖ ...)":"go on"「(ダイエット)をする」は、"get on"でも言い換えられると思いましたが、オンライン辞書 LONGMANを調べたところ"diet"のコロケーションに"get on"は登録されていなかった。⇒ "get on a diet"は間違え(✖)と判断。

(4)Steve Jobs' Speechより:"truly" こころからそう思うとき
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[Front]
 0344
 それら(心と直観)は, どういうわけか既に あなたが本当になりたいことを知っているのです.
[Back]
 They somehow already know what you truly want to become. 
 (△ really want to become)

 truly: stronger than 'really'. 
 If you want to do something from the heart, 'truly' is better than 'really'.
 (ネーティブの先生に確認)
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・Steve Jobs' Speech (4月14日の記事で問題集の情報ソースとして紹介) の3つめのストーリ "death"の一文。
・"what"節の中の"you truly want to become"の副詞は"really"に置き換えられると思いました。しかし、英会話の先生に聞いたところ、”truly"は"really"よりも強い意味で、心から思うときは、これの方が良いと教えてもらいました。なので、"really"は△(意味は通じるけど使うべきではない)と判断。

(5)会議でPJ等の概要説明する表現:名詞の前の"an / the"
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[Front]
 0410
 最初の30分は, 開発案件の全体像について話したいと思います.
[Back]
 We'd like to talk about the overall picture of development projects in the first 30 minutes.
 (ALSO give an overview/overall picture of)
 (△ give the overview/overall picture of) 
 (△ talk about an overall picture of)

 give an overall picture: "an"が適切. "the"を付けると高圧的に聞こえる.
 talk about an overall picture: "an"を付けると不自然 (overall pictureは話し手にとって一つしかない)
 (ネーティブの先生に確認)
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・会議で開発案件の概要説明をするときの表現。
・振り返り1行目"(ALSO ...)": "talk about the overall picture of"の別表現として"give an overview/overall picture of"は通じる。
・振り返り2行目"(△ give the ...)":"give the overview/overall picture"というと不自然。"the"を付けると高圧的に聞こえる(読み手の解釈を、話し手が決めつけるイメージ)
・振り返り3行目"(△ talk about an ...)":話し手にとって、"overall picture"は一つしかないので、"an"だと変に感じる。

(6)会議中止の理由:as/since vs becauseの意味の違い
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[Front]
 0475
 みな忙しいので会議を中止します.
[Back]
 Since everyone’s busy, we’ll cancel the meeting.
 (ALSO As everyone's busy,)
 (△ Because everyone's busy,)

 "everyon's busy"は、聞き手"everyone"には周知の事実なので、
 "Since/As"が適切(""because""は△)

 【as/since, becauseの違い】
 ■ as/since: 聞き手も知っていることを理由として言うときに使う
 ・asの方がフォーマル、sinceも若干フォーマル。
 ・カジュアルな会話では、soを使う。
 ■ because: 聞き手が知らないことを理由として言うときに使う
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・会議の中止を伝えるときの表現
・振り返り1行目 "(ALSO As ...)":"as"は"since"と交換可能
・振り返り2行目 "(△ Because ...)":"because"は聞き手が知らないことを理由にするときに使う。このケースでは、関係者が忙しいのは周知の事実と考え、"because"は△とした。

(7)ホテルのチェックアウト("of"が抜けると「確認する」に)
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[Front]
 0517
 私たちは11時までにホテルをチェックアウトすることになっている.
[Back]
 We’re supposed to check out of the hotel by 11:00.
 (ALSO check out from the hotel)
 (✖ check out the hotel)

 "check out of/from"の前置詞"of/from"は必要(削除不可).
 (理由) ""of/from""を削除すると, 「確認する」という意味になる.
 (ネーティブの先生に確認)
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・ホテルをチェックアウト時刻を示す表現。
・振り返り1行目"(ALSO .. )":"check out"につながる前置詞として"from"あり
・振り返り2行目"(✖ ...)":"check out"の後の前置詞を削除すると「確認する」という意味に変わってしまう。

(8)入場料の注意書き (成句-省略が普通に)
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[Front]
 0523
 入場料は、特にことわりがない限りは無料です.
[Back]
 Admission is free unless otherwise noted.
 (ALSO unless it is otherwise noted)
 (ALSO unless noted otherwise)

 unless otherwise noted: "it is"が省略されている"a set phrase"(成句)
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・入場料の注意書きの表現
・振り返り1行目"(ALSO unless it is ..)":"it is"が省略される前の表現
・振り返り2行目"(ALSO unless noted)":修飾語"noted"は"otherwize"の後に付いても同じ意味。

(9)上訴-日本語も学ぶ
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[Front]
 0851
 裁判を欠席したため,彼は上訴する権利をはく奪された.
[Back]
 By being absent from the trial, he forfeited his right to appeal.

 上訴(じょうそ):裁判の判決に対して、上級の裁判所に不服を申し立てること。
 1→2審の上訴を「控訴」、2→3審の上訴を「上告」という。
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・裁判に関する表現。
・「控訴」「上告」は知っていたが、それらの意味を包含する「上訴」は知らなかった(お恥ずかしい限り)。
・英語では、「控訴」「上告」も"appeal"なので、必然的に「上訴」を学ぶ。

(10)遅刻を謝る(教科書に書いていたが、本当はそういわない)
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[Front]
 2394
 遅れてすみません。
[Back]
 Sorry I'm late.  I am sorry to be late.
 Sorry I'm late.
 (ALSO I'm sorry I'm late.)

 原文"I am sorry to be late."は、遅れることが確定していないのに謝っている。
 ネット上でネーティブスピーカーには違和感ありとの声。
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・遅刻を謝る表現。
・教科書に載っていた"I am sorry to be late."は、どうしても"I'm sorry I'm late."といってしまうので、インターネットを調べると自分の表現のほうが適切と判明。
・言いやすい・覚えやすい表現は、ネーティブスピーカーも使っている。

 以上、テストの振り返り10例を紹介しました。前置詞、冠詞がその文の意味に与える影響だったり、日本語だったり、実は自分が言いやすい表現の方が良かったりと振り返りを通して学ぶことはいろいろあります。このようなテストの振り返りを通して、前回記事でも述べた通り、自分の脳内にある言語の規則を少しずつ修正していけると考えています。
 今回10回目の投稿になりますが、私の学習方法であるテスト駆動英語学習(TDEL)について、一通り説明したつもりでいます。アメリカのテレビドラマでいうと、シーズン1が終わったというところです。次回以降のシーズン2では、運用上のTIPSから始めていき、まだ取り上げていない音の課題等にも触れていきたいと思います。

それではまた! by a2c

2019年5月5日日曜日

テスト駆動英語学習(TDEL)-テストと振り返り前編:忘れかけた自分が新たな問いを立てる

 令和が幕を開けました。少しワクワクしています。日本国としても、私個人としても、何かが変わっていく、または何かを変えていく期待感が自分の中にあるのだと思います。初回記事で述べた「私も含めて、日本の人々が草の根レベルで世界の人々と触発されながら、学び、遊び、そして働くことができたらな、また、それを実現するために少しでも役に立てたらな」という思いを胸に、まずはこのブログで、私が提唱するテスト駆動英語学習(TDEL)や、そのほか言語の学びに関する情報発信をしていきたいと思います。
 前々回の記事、前回記事の2回に渡ってTDELの問題集の外観、作り方を紹介しました。そして、いよいよTDELの中心部分であるテストと振り返りに入ります。今回はテストと振り返りの概要、次回は具体的に、という形で2回に分けて紹介します。

1.本題に入る前に
(1)脳科学が明かす言語習得のメカニズム
     (Diamond Harvard Business Review, October 2012 より)

 東京大学の脳生理学者 酒井 邦嘉(さかい くによし)教授にインタビューした記事ですが、大変参考になった(特に言語中枢の分類は本稿の図に入れさせていただいた)ので、以下の通り、二つの考え方を要約します。

  • 外国語の習得プロセス:母語(L1)も外国語(L2)も、使われている脳の場所はまったく同じ(脳内には、文法・単語・音韻・読解の4つの言語中枢がある)。L2を習得するプロセスは、L1の規則を修正しながら、無数の規則を少しずつ入れていく作業。時にはL1の規則の一部を捨て去る柔軟な対応が必要になる。L2習得における困難の多くはL1の規則に引きずられることによるものだが、実はL1の基盤が豊かな方がL2の習得において柔軟な対応が可能になる。
  • 言語生得説:人は生まれたときから言語知識の体系を持っているという説(酒井氏はこの説の裏付けを試みている)。赤ちゃんが限られた刺激と未発達の推論能力だけで数年のうちにほぼ完全にL1を習得できる事実を、後天説だけでは説明できない。人の思考は脳にもともと備わっている普遍文法をベースに獲得されたL1に導かれる。L2はL1をベースに習得される。

 上の考え方は、日本語には自信があるけど英語は発展途上の人(私も含む)に朗報です。もう既にあなたには(もちろん私にも)、英語を話すための言語的な基盤が備わっています! あとは、L2(=英語)の規則を受け入れ、L1(=日本語)の規則に加えていくだけです。今後はこのような言語習得理論も学び、私の学習手法の規則にも修正を加えていきたいと思います。

(2)テストと振り返りのおさらい(これまでの記事で述べたこと)
 今回の主題は「テストと振り返り」ですが、これまでの記事で述べたこと(短縮版)は以下の通りです。

  • 英語学習の基本戦略(3/23記事)
    テストファースト:
    定期的にテストするのではなく、テスト自体が学習ととらえる。不正解は振り返りの機会となる。
    日本語でインプット、意味をリテイン、英語でアウトプット: テストでは、インプット(日本語)の意味を頭の中でリテインし、一気に英語で話す(アウトプット)。
    コロケーションの習得:テストの問題は、一緒に使われる語と語の組み合わせ(コロケーション)をセットで習得できるよう作成する。
    分散学習アプリの活用:テストには分散学習アプリAnkiを活用し、記憶の忘却特性に基づいて問題ごとに復習間隔を調整する。
  • 不正解は、振り返りの機会 (3/31記事)テストの答え合わせでは、名詞の前の"a/an"と"the"の違いなどの細部にこだわり、自分の解答を厳しくチェックすることが、テストファーストの効果を上げる。
  • 連想ネットワークの強化 ≠ 暗記 (4/28記事)
    コロケーションを含むテストの反復によって、脳内の連想ネットワークを強化し、クティブボキャブラリの増強をめざす。
以上おさらいでしたが、言語習得のメカニズム(上記(1))の視点で、「テストと振り返り」を捉えなおすと、まさに「脳内の言語の規則を修正するプロセス」である、と言えます。

2.TDELにおけるテストと振り返り
(1)全体の流れ
 上記でもおさらいしましたが、TDELの4つの基本戦略は全てテストと振り返りにかかわるものです。よって、このプロセスがTDELの心臓部といえます。
 以下の図は、4/21記事で取り上げた最短の問題文 「静かにしなさい」/"Be quiet."を例に、TDELのテストと振り返りの全体の流れを表しています。実をいうと私は問題文「静かにしなさい」に対して"Be quet"以外を解答したことはありませんが、ここでは、説明のためにあえて誤答(正答と不一致)のケースにしています。


図1:テスト駆動英語学習(TDEL)のテストと振り返りの流れ("Be quiet"の例)

このプロセスは、図からもわかる通りテスト、振り返りの2フェーズから成り、テストフェーズは3ステップ(➀~③)、振り返りフェーズは2ステップ(④~➄)から成ります。
 以下では、各ステップを説明します。

テストフェーズ:
① 日本語の問題文の読解と英語での解答:
 Ankiカードの問題文「静かにしなさい。」を読み、解答"Keep quiet."を発話する。脳内では読解中枢が問題文の意味を解釈し、単語中枢と文法中枢が英文を構成し、音韻中枢が発話のための発音・アクセントを加える。
② 解答の正誤チェック:
 解答"Keep quiet."がAnkiカードの正答"Be quiet."と一致しているかチェックする。このケースでは、不一致のため、誤答となる。
③ チェック結果の認識と誤答の記録:解答が誤答であることを認識する。この認識の結果は、即時に脳内にフィードバックされる。ただし、<実は正答では?>という問いが生じる。問いが生じた誤答"Keep quiet."をメモし(図示なし)、次の振り返りフェーズに引き継ぐ

振り返りフェーズ:
④ 誤答の調査(新たな正答、補足ルールの抽出):
 テストフェーズでメモした誤答"Keep quiet."が「静かにしなさい」を意味するかをインターネット上の辞書(オンライン)やブログ記事を検索して調べる(教科書等のオフライン情報でも全く問題ないが、調査効率を考えると、検索可能なオンライン情報が断然便利)。図の調査例では、"Keep quiet."が<やはり正答だった!>ことがわかったほか、<ほかの言い方> "Keep it down."、<丁寧な言い方> "Could you ... ?"がわかった。
⑤ 調査結果のフィードバック:
 上記の調査により確認できた新たな正答と補足情報を問題集に登録し、その内容をAnkiカードに反映する。このステップにより、正答のバリエーションが増え、上記1.(1)でいうところの言語の規則のカバー範囲が広がります。
 以上「テストと振り返り」の全体の流れを説明しましたが、次に私が考えるこのプロセスの最大の特徴を説明します。

(2)最大の特徴「忘れかけた自分が新たな問いを立てる」
 このプロセスの目的は、(1)のステップ➄で行う各問題の正答のバリエーションを増やし、問題集がカバーする言語規則の範囲を広げることです。
 ただ、最大の特徴は、ステップ③で説明した<(誤答は)実は正答では?>という問いが生じるところです。一言でいうと「忘れかけた自分が新たな問いを立てる」といったところでしょうか。
 自分の記憶の制約が新たな学びの契機になる。1000問単位のオーダーがある英語の問題文すべての単語と順序を丸暗記することは普通の人間にには(少なくとも私には)不可能です。テスト直後、問題文は丸暗記に近い形で単語の順序も含めて記憶されていますが、ある期間が過ぎると、その情報は消失し、図1①の脳内の単語(の意味)、文法(の規則)だけが残ると考えられます(もちろん、読解・音韻の情報も記憶される)。分散学習アプリAnkiは記憶の忘却特性に基づいて各問題の復習間隔を調整するので、次の出題時には、前回のテスト直後にあった丸暗記に近い記憶はすでに消失しています。脳内では、Ankiカードの問題文を解釈し、英語の単語(の意味)、文法(の規則)を手掛かりに英文を再構成するので、一定の割合で正答と異なる解答をします。その割合は、問題集の難易度、正答のバリエーション、学習進度により異なります。私の場合は、これまでの2月弱で5000回以上の問題に解答しましたが、そのうちの約15%(約750回)が正答と異なり、そのうちの約20%(約150回)があとで調べると文法的に正しい解答(=新しい正答)でした。
 今後、このペースが続くかはわかりませんが、自分の記憶の制約が契機となり、2か月間で約150の新しい言語の規則が自分の学習システムに追加されたわけですから、少し面白みを感じています。感覚としては、記憶の状態が異なる様々な自分が居て、各人がいろいろなきっかけを作り、自分向けの教材を作っているというものです。面白くありませんか?


以上、TDELのテストと振り返りの全体の流れ、特徴について述べましたが、次回の「テストと振り返り後編」では、テストと振り返りの具体的な内容について紹介したいと思います。
それでは、また! by a2c

2019年4月28日日曜日

テスト駆動英語学習(TDEL)-テストの反復で何を強化するか? どうやって問題集を作るか?

 前回記事では、私が提唱するテスト駆動英語学習(TDEL)の問題集の外観を示し、具体的な作り方に入る前の序章として分散学習アプリ Ankiの威力を紹介しました。今回はいよいよ問題集に踏み込みます。まずテストの反復で何を強化するか?を、続いてどうやって問題集を作るか?を紹介します。

テストの反復で何を強化するか?
(1)連想マシン
 私はプライベートでの会話中にジョークを挟む方ですが、よくよく考えてみると恐ろしいほど高度な知的処理をしているなと思います。相手の話を聞きながら、話題から少し外れているけど関連している言葉やイメージを頭の脇に読み出し、保持しておき、相手の話が途切れたタイミングで頭の脇に保持した言葉やイメージを元にリアルタイムでジョークを構成し、言葉としてアウトプットする。この知的処理の基盤が、ここで取り上げる連想マシンです。
 人間の思考の重要なメカニズムとして、行動経済学の権威 ダニエルカーネマン氏は著書「ファスト&スロー」で、この連想マシンをあげています。人の頭の中では、言葉、意味、経験、感情、イメージ等が、ノード(節点)としてネットワーク状に連結されており、ある情報が入力されると、無意識のうちに、連結強度の高い複数のノードが同時に活性化(連想活性化)するというものです。その逆もあり、複数の情報が同時に連想マシンに入力されると、対応する複数のノードが同時に活性化され、それらの間の連結強度を高めます。
 下の図は、私の連想マシンの動作例です。例えば、"Apple"、"クリエイター"を私の頭に入力すると、Steve Jobs、The Beatles、椎名林檎が連結活性化され、そしてSteve Jobsと連結強度の高いMachintosh(※1)、Next Step(※2)、iPod・iTunes、The Beatlesと連結強度の高いRickenbacker(※3)、Let it be、Abbey Road、椎名林檎と連結強度の高い歌舞伎町の女王、ここでキスして、リオの閉会式が連想活性化されます。同時に図示できない、感情やイメージも連想活性化されます。


図1:私の連想マシンの動作例-"Apple"、"人"入力時の連想活性化(2ホップまで)
  ※1 Machintosh: Apple初期のPC. Macになる前の機種. 外見がカワイイ.
  ※2 Next Step: Steve JobsがAppleを離れていた時期に開発したコンピューター.           このコンピューターのOSが現在のMacOSのベースになった.
  ※3 Rikenbacker: ビートルズが愛用していたギター 

(2)コロケーションの習得(=連想ネットワークの強化 ≠ 暗記)
 3月23日記事でTDELの基本戦略の一つとして「コロケーションの習得」をあげましたが、これを連想マシン視点で言い換えると以下のようになります。
  • コロケーションの習得(連想マシン視点):テストでは、一緒に使われる語と語の組み合わせ(コロケーション)を何度も同時に脳内で活性化させることによって、その連結強度を高める。この繰り返しによって、ある語を思い浮かべたときに、連結強度の高いコロケーションが無意識下で連想活性化するようになり、思ったことをリアルタイムで作文するための基盤が脳内で強化される。
 分散学習(Spaced Repetition)をベースにしたコロケーションを含むテストの反復によって、語と語が頭の中で関連付けられ、支えあい、強め合う。このように、TDELでのテストの反復は、コロケーションを中心としたの連想ネットワークを強化します。単なる単語の暗記ではなく、必要な時にすぐに記憶から取り出せるアクティブボキャブラリの増強をめざします。

どうやって問題集を作るか?
(1)問題集管理テーブル
 4月7日記事で紹介したテスト駆動英語学習(TDEL)の概要でも図示しましたが、私は情報ソースから抽出した問題文を一度、問題集の管理テーブルに登録しています。やはり一覧性の高いテーブルイメージで問題集を俯瞰したいですし、分散学習アプリ Ankiに登録する必要は無いが問題集の管理には必要な情報があるからです。
 下の図が私の問題集管理テーブル(抜粋)です。実際はもう少しフィールド(列)がありますが、図では最低限必要と思うものを表示しています。また、このテーブルにはGoogle Spreadsheetを使用していますが、Excelでも問題有りません(当たり前ですが)。

図2:問題集管理テーブル(抜粋)-Google Spreadsheet

以下、問題集管理テーブルの各フィールド(列)の説明を列挙します。

  • B列「ID」:問題の識別番号のフィールド。主にAnkiに登録済みのカード(=問題)を検索するときに使う。意外と重要。
  • C列「問題文(日本語)」・D列「問題文(英語)」:問題文を登録するフィールド。この抜粋例では、穴埋め問題には英文の隠す部分と和文の対応部分にアンダーラインあり、文ごと隠す問題にはアンダーラインなし。
  • E列「語数」:問題文(英語)の語数のフィールド。
  • F列「ノート」:主にテストの振り返り結果を記入するフィールド。
  • G列「形式(B/S)」:出題形式のフィールド。B(Blank):穴埋め問題、S(Sentence):文ごと隠す問題。
  • H列「カテゴリ(タグ)」:問題の分類のフィールド。問題の情報ソース別に分けて記入している。分散学習アプリ Ankiには「タグ」として登録。
  • I列「Anki登録」:問題文のAnkiへの登録状況のフィールド。図に表示した問題は、全て登録済み。
  • J列「単語・フレーズ(Pick up)」:主要な単語・フレーズのフィールド。最低限これは覚えたいというものを記入する。
  • K列「品詞」:主要な単語・フレーズの品詞のフィールド。

(2)出題形式
 出題形式は、上記(1)G列の通り、穴埋め問題(形式B:Blank)、文ごと隠す問題(形式S:Sentence)の2種類です。形式Bの方が簡単です。図2の問題集(抜粋)では、文の長さが10語以下であればS形式、11語以上であればB形式にしていますが、どちらの形式にするかは、それぞれ方の学習進度によって変わります。
 英語力に自信のない人は、B形式を選択、隠す語数を2~5語程度にし、まずはボキャブラリと主要なコロケーションの強化を目指すことをおすすめします。

(3)問題の作成
 図2は、私の問題集をそのまま表示しているので、出題形式S(文ごと隠す)が多く、出題形式B(穴埋め問題)だとしても、6~11語を隠しています。
 これよりも難易度を下げて、① 問題は全て形式B、「単語・フレーズ(Pick up)」フィールドの語を中心に隠す、隠す語数は5語以下、とした出題例を以下に示します。(英文のアンダーライン部分を隠します。)

0214 これが私のレポートです. よろしければ, その詳細を説明します.
   Here’s my report. I’ll take you through it if you like.
0215 彼は自分の無罪を私に納得させようと努めた.
   He tried to convince me of his innocence.
0216 それについては, よく考えさせてください.
   Let me think on it.
0217 彼は, 無視されたことに腹を立てた.
   He resented being neglected.
0218 ビザの申請は手紙でできますが, あなたが直接大使館に行けば、より早いです.
   You can apply for a visa by mail, but it's quicker if you go to the embassy in person.
0219 彼はたばごを吸ったため, 学校を退学になった.
   He was expelled from school for smoking.
0220 彼女は, 気品がある.
   She has grace.
0221 ジョーは, 資金を盗んだため委員会を追放された.
Joe was kicked off the committee for stealing funds.
0222 私はそれはやってみる価値はあると考えた(thought以外). 
   I figured it was worth a try.
0223 校長は, 理事会の決定に対して拒否権を持っている.
The head teacher has the right of veto over management-board decisions.

上記の出題例で隠したコロケーションをまとめると、以下の通りになります。
 動詞, 前置詞   :0214, 0215, 216, 0219, 0221
 動詞, 動名詞   :0217
 動詞, 名詞      :0220
 名詞, 前置詞   :0218
 名詞, 冠詞, 前置詞 :0223
 動詞, その他     :0222

上記のように、コロケーションを考慮することによって、連想ネットワークの強化を実現する問題を作成します。

(4)Ankiへの問題の登録
(4A) 出題形式B(穴埋め問題)のカード登録
 Ankiのメインウィンドウ(図示なし)から「追加」ウィンドウ(図3)を立ち上げ、以下の4つを実施します。

① Frontフィールド(問題用):問題集管理テーブルからID、問題文(日本語)、問題文(英語)をコピーし、本フィールドにペーストする。このとき書式は引き継がれないので、ペーストした文に改行を入れ、アンダーラインを引く。問題文(英語)の隠す部分にはスペースを入れ、そのスペースにアンダーラインを引く。
② Backフィールド(解答用):問題集管理テーブルから問題文(英語)をコピーし、本フィールドにペーストする。①と同様に書式は引き継がれないので、ペーストした文にアンダーラインを引く。
③ タグフィールド:問題集管理テーブルのカテゴリ(タグ)欄の名称を本フィールドに入力する。
④ 追加ボタン:最後に本ボタンを押して、カード(=問題)の登録が終了。

図3:出題形式B (穴埋め問題)のカード登録 (Anki)

(4B) 出題形式S(文ごと隠す問題)のカード登録
 上記(4A)と同様に「追加」ウィンドウ(図4)を立ち上げ、以下の3つを実施します。((4A)よりも入力がシンプル)

① Frontフィールド(問題用):問題集管理テーブルからID、問題文(日本語)をコピーし、本フィールドにペーストする。このとき書式は引き継がれないので、ペーストした文に改行を入れる。
② Backフィールド(解答用):問題集管理テーブルから問題文(英語)をコピーする。
③ タグフィールド:問題集管理テーブルのカテゴリ(タグ)欄の名称を本フィールドに入力する。
④ 追加ボタン:最後に本ボタンを押して、カード(=問題)の登録が終了。

図4:出題形式S (文ごと隠す問題)のカード登録 (Anki)

まとめ
以上、テストの反復で何を強化するか?では、人間の連想ネットワークのメカニズムを紹介し、テストの反復によって連想ネットワークの強化を目指すことを示しました。そして、どうやって問題集を作るか?では、問題集管理テーブルのフォーマット、コロケーション(=連想記憶の強化)を意識した問題の作成例を示し、最後に少し地味ですがAnkiへのカード(=問題)の登録方法を紹介しました。
 次は、いよいよTDELの一番重要な部分である、テストの実施と振り返りに入っていきます。

それではまた、令和で! by a2c

2019年4月21日日曜日

テスト駆動英語学習(TDEL)の問題集の外観と分散学習アプリAnkiの威力

 テスト駆動英語学習(Test-driven English Learning:TDEL)とは、テストファースト、分散学習(Spaced Repetition)を基本戦略(3月23日記事)とした私の学習手法ですが、前々回の記事、前回記事の2回にわたりその情報ソースを紹介しました。今回は、問題集の作り方に入る前の序章として、問題集の外観を示し、分散学習アプリAnki(3月31日記事)の威力を紹介します。

本題に入る前に
(1)分散学習アプリAnkiについて
 Ankiのインストール方法や等については、以下サイトを参照してください。
 公式サイト:https://apps.ankiweb.net/
 AnkiWeb:https://ankiweb.net/about 
 ※ PCとスマホを同期させるためのアカウントの作成
 日本語マニュアル:https://wikiwiki.jp/rage2050/
(2)3月31日記事の補足
 記事では「今年の3月10日からは、EvernoteからAnkiに切り替えて、英語学習の新たなスタートを切っています。」と書きましたが、実際に使い始めたのは、その前日3月9日(私の48歳の誕生日)からです。本日で44日目に突入しました。

問題集の外観
 Ankiを使い始めて44日目に突入した時点での感想ですが、分散学習、Ankiは良いです。これを使い始める3月8日以前にはあったテスト結果の記録、学習計画のコストが劇的に減り、自分の時間をテスト結果の振り返り、読書・情報収集、そしてこのブログの執筆にあてられるようになりました。問題集のメンテナンスコストは以前と同様にあります。これは今後の課題です。前置きが少し長くなりました、本題に移ります。
 現在 Ankiに登録済みの問題数は807問(3月9日~4月18日に登録)ありますが、横軸に問題文の長さ(語数)、縦軸に度数をとると下図の分布になります。グラフでは、最短2語から始まり、7語をピーク(135問)に、ロングテールを描きながら最長32語まで伸びています。前々回の記事で提示した「思ったことを話せるようになる」ための問題集の2つの特性ー(1)問題文の長短混在、(2)語彙の広がり(出現頻度の高低の混在)―のうち、特性(1)を問題集が持っていることがわかります。特性(2)については、Anki登録の問題数(現在 807問)が2000問に到達した時点で、別途評価します。
図1:Anki登録済みの問題文(807問)の分布
(注記) 吹き出し内の問題文(英文)は、アンダーライン部分を隠した穴埋め問題

グラフには最短と最長の問題は具体的に何かを表示しています。最短(2語)の問題文は、すこし気恥ずかしいですが「静かにしなさい」/"Be quiet."です。
 一方、最長32語の問題文(二つの文からなる)は、前回記事で問題集の情報ソースとして紹介した"Steve Jobs’ Speech, June 2005"からの味わい深いエントリです。本題から逸れますが、最長32語の問題文を、前提を含めて解説します。Jobsは、高卒の労働者階級の夫婦に養子としてもらわれましたが、育ての親は生みの母親との約束もあり、Jobsを大学に進学させます。Jobsは、大学に入ると、労働者階級の両親の給料のほとんどが、自分の大学の授業料に消えていくのを見て、苦しみます。そして思い切って退学します。ここからがすごいのですが、Jobsは大学を中退してからももぐりの学生として居座り、自分の好きな授業だけに通い始めます(私には、維新時代にもぐりの学生として神戸海軍操練所に通った坂本龍馬と重なりました)。彼は、ただ好きだという理由だけで、カリグラフィ(英語版の書道)の世界にのめりこみます。やっと最長32語の問題文の和訳を紹介する準備が整いました。問題文和訳は、次のようになります。「このこと(=カリグラフィから学んだこと)はどれも, 私の人生に実践的に応用できる希望さえありませんでした. しかし10年後, 最初のマッキントッシュコンピューターを設計していたときに, そのすべてが私の中に蘇ったのです.」スピーチを構成する1つめのストーリー”connecting the dots"のクライマックスの文です。このあと、Jobsはこう言います。「繰り返します, あなたは将来を見据えて点と点をつなげられません. あなたはあとで振り返ることでしか, それらをつなげることができません. なので, あなたは、点と点が、将来に何らかの方法でつながると信じなければなりません.」/"Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future." 要は、今やっている事が自分の将来にどうつながるか予測できないけど、必ずつながると信じてやりなさい、ということです。私もこの話に感銘を受けて、このブログをはじめました。少し熱くなってしまって、本題から逸れたことを長々と解説してしまいました。
 以上、私の問題集の外観を、長い余談を入れつつも紹介しましたが、以下では図1で挙げた最長・最短の問題文も織り交ぜつつ、Ankiの威力を紹介します。

分散学習アプリ Ankiの威力
 当初は、テスト結果の記録、各問題の復習の計画を全て自分の手と頭でしていた私が、これまでAnkiを使って感じた威力は、大きく2つあります。

(1)それぞれのカード(=問題)の難易度、記憶の定着度に応じた復習間隔の決定
 これは、絶対に自分の手と頭だけではできません。例えば、上記で挙げた最短の問題文"Be quiet."(2語)と最長の問題文"None of this ... to me."(32語)のカード情報から学習履歴を抜粋すると、下図のようになります。

図2:Ankiのカード情報の抜粋-学習履歴

 最短の問題文"Be quiet”(2語)は、2019-03-22に初めて学習し、初回も含めてこれまで3回学習しました。直近の学習日2019-04-11時点での復習間隔は1.7か月、次の学習予定日(図には表示なし)は、2019-06-01です。一方、最長の問題文"None of this ... to me."(32語)は、2019-04-04に初めて学習し、これまでに11回学習しました。直近の学習日2019-04-20(昨日)時点の復習間隔は3日、次の学習予定日は、2019-04-23です。このように、問題文の記憶の定着度によって復習間隔は大きく異なります。Ankiは、現在登録済みカード807枚すべてについて、それぞれの復習間隔を決定してくれています。
 繰り返しますが、このような個別の復習計画の作成は、絶対に自分の手と頭だけではできません。アプリに任せるべきです。

(2)統計情報を利用した全体的な記憶の定着度の確認
 学習しているとやはり全体的な記憶の定着度を知りたくなります。これまでですと自分が作った問題集から無作為抽出して定期テストを作成・実施するというのが妥当な方法でしたが、それには相当なコストがかかりました。
 Ankiを使用した学習では、面倒な定期テストは必要ありません。Ankiがカード(=問題)別に決定している復習間隔(=記憶の定着度)を統計情報表示機能を使って確認するだけで、全体的な記憶の定着度を確認することができます。それが下図になります。
図3:Ankiの統計情報ー復習間隔(=記憶の定着度)

 このグラフは、図1-Anki登録済みの問題文(807問)の分布を、復習間隔(=記憶の定着度)という別の視点で表したものになります。現在は平均の復習間隔が26日間(3.7週)で最大間隔が3.5か月です。全体的な記憶の定着が進むと、このグラフが少しずつ右に伸びていきます。今後が楽しみです。
 上記のように全体的な記憶の定着の統計機能を使って確認することができるため、学習のモチベーション維持、次の学習計画の検討が容易になります。

(補足1)易しさ:復習間隔を決定する指標
上記(1)では、Ankiの威力としてそれぞれのカード(=問題)の難易度、記憶の定着度に応じた復習間隔の決定をあげましたが、その復習間隔を決定する指標として「易しさ」をAnkiは管理しています。この指標は、Ankiを使用していると随所にでてくるため、ここで少し補足します。
 まずは3月31日の記事おさらいになりますが、スマートフォン(Ankidroid)で問題の解答を表示すると、下図のように画面下部に「もう一度」「難しい」「普通」「簡単」という4つのボタンが表示されます。
図A1:スマートフォン(Ankidroid)の解答表示画面

易しさは、初期値:250、最小値:130の指標で、値が大きければ簡単、値が小さければ難しいことを示します。上図の画面下部の解答評価ボタン「もう一度(=不正解)」「難しい」を押せば易しさの値は減少し、「普通」を押せば易しさの値はそのまま、「簡単」を押せば易しさの値は増えます。
 各ボタンと易しさの増減、学習間隔の関係は、下図のようになります。

図A2:解答評価ボタンと易しさの増減、学習間隔の関係

(補足2)ブラウザ:カード情報の確認
 Ankiには、カードの情報を確認、更新できるブラウザ機能があります。下図に示すブラウザの画面では、最長の問題文"None of this ... to me."(32語)のカード情報を選択しています。この画面では、(補足1)で説明した「易しさ」の小さい順(難しい順)にソートしています。最長の問題文"None of this ... to me."(32語)が、上から数えて7番目に易しさの値が小さい(=難しい)ということが確認できます。
図A3:ブラウザによるカード情報の表示

簡単なまとめ
 以上、テスト駆動英語学習(TDEL)の問題集の外観では、Anki登録済みの問題文(807問)の分布を紹介し、「思ったことを話せるようになる」ための問題集の特性の1つである「問題文の長短混在」が実現されていることを示しました。分散学習アプリAnkiの威力では、Ankiをこれまで使用して感じたその2つの威力-問題の記憶の定着度に応じた復習間隔の決定、統計情報による全体的な記憶の定着度の確認-を紹介しました。
 次回は、いよいよ、問題集をどうやって管理するか、どうやって作成するかについて具体的な解説に入っていきたいと思います。

それでは、また! by a2c

2019年4月14日日曜日

テスト駆動英語学習(TDEL)-情報ソース編(その2)

前回記事では、私の学習手法に「テスト駆動英語学習(Test-driven English Learning:TDEL)」という名前をつけ、5種類の情報ソース(教科書、辞書(オンライン)、ブログ記事、ビデオ(オンライン)、マイノート)の概要を中心に紹介しました。今回は、5種類のうち、マイノートを除く4種類の外部ソースは具体的にどんなものがあるかを紹介します。(マイノートはテストの振り返りと強く関連するため、振り返りを説明するときに一緒に説明します。)

本題に入る前に
 今回紹介する4種類の情報ソースは、あくまで私の個人的なものです。前回記事の通り、TDELでは情報ソースの豊富なバリエーションを推奨していますが、具体的に指定していません。唯一指定するとすれば、自分の興味のある分野です。興味のある分野であれば学習効果も高くなり、その分野の語彙が豊富になれば会話のモチベーションも上がると考えているからです。以下で紹介する私の情報ソースが、みなさん自身の情報ソース選びのヒントになれば、うれしいです。

私の情報ソース
 本当はもっと多いのですが紙面の制約条件を利用して、各カテゴリーにつき具体的な情報ソースを3つに絞って、以下に示します。

図:私の情報ソース(外部ソース4種類)

 情報ソースはカテゴリー毎に使い勝手の良いところ、悪いところがあります。また、情報ソース毎に見るとそれぞれ特徴があり、私の利用方法も異なります。

(1)教科書
 教科書は、整理、吟味された単語、文例が掲載されているので、信頼できる情報ソースとして使っています。また、文例の音声(DVD又はダウンロード形式)がついているのも良い点です。一方、テキスト形式で提供されていないことが多いので、文例のコピー&ペーストができない、検索ができない難点があります。

(1A)金のフレーズ(TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ, TEX加藤氏 著)
 3月23日の記事でも紹介した通り、この教科書は「日本語⇒英語の穴埋め問題を繰り返し解くのは、英語の語彙増強に非常に有効だ」と私に気付かせてくれました。TOEICの頻出単語 1000語が厳選され、単語ごとに7語以下のフレーズにまとめられています。私の問題集としては7語以下は少し短いので、金フレは問題作成のための単語選びに使っています。
 各フレーズの備考欄に時々出てくるTOEICの世界の解説も楽しめます。金フレの想定読者はTOEIC 500点以上なので、基礎から学びたい人は銀フレ(TOEIC L & R TEST 出る単特急 銀のフレーズ, TEX加藤氏 著)がおすすめです。

(1B)瞬間英作文(どんどん話すための瞬間英作文, 森沢洋介氏 著)
 前回記事で紹介した「問題文の長短混在:聞きながら話す能力の強化」の一つ「短文:思ったことをシンプルに瞬時に言う能力を強化」を気づかされた教科書です。この教科書の790の例文は、全て私の問題集に登録しています。中学校で習う用法に限定していることもあり、簡単すぎると感じる例文も多々ありますが、自分は使えていない(または忘れていた)用法もあり、学びなおしには最適です。
 分散学習アプリAnki(3月31日の記事)が記憶の定着度(=問題の難易度)に応じて適切に出題間隔を調整してくれるので、簡単すぎる問題が連続して飽き飽きすることはありません。むしろ簡単な問題と難しい問題が混在していた方が、予測不能性が増し、作文トレーニングとしての効果は上がると感じています。

(1C)English Upgrader+
 TOEICを運営するIIBCがインターネット上で無料公開している教材です(一般にいう教科書ではありません)。前回記事で紹介した「問題文の長短混在:聞きながら話す能力の強化」の一つ「長文:英文を脳内に保持する能力(リテインする能力)を強化」のための情報ソースとして使用しています。
 教材はPDF/MP3形式で提供されていて、文例のコピー&ペーストができるため、問題を登録するのが非常に楽です。それも、無料なので使わない手はありません。

(2)辞書(オンライン)
 3月16日の記事で紹介した「英単語の意味を英語で覚える学習の失敗」の2014年から、単語の意味は、英国発のオンライン辞書(無料版)で調べています。なぜ英国の辞書かというと、日本の辞書と比べて、意味の分類がしっかり設計されている、用法に関する情報が豊富、そして例文が豊富だからです。またオンライン辞書を使っているので、例文のコピー&ペーストができ、問題として登録するのが非常に効率的です。

(2A)LONGMAN (Longman Dictionary of Contemporary English Online)
 私がメインで使っている辞書です。この辞書はたくさんグッドポイントがあるのですが、特に重宝しているグッドポイントを挙げると、コロケーション(連語:一緒に使われる語と語の組み合わせ)が豊富、例文が豊富、そして英和・和英の機能もあるところです。(コロケーションの習得は、3月23日の記事でも紹介した通り、私の英語学習の基本戦略の一つです。)
 上記(1A)金フレは単語選びに使っていますが、例文は主にLONGMANのものを使っています。例文には「イーストウッドは, 続・夕陽のガンマンに主演した。」/"Eastwood starred in ‘The Good, the Bad, and the Ugly’."というような、日本の辞書にはなさそうなステキなものもあります。(和訳は、私が作成)

(2B)Cambridge (Cambridge Dictionary)
 私がサブで使っているオンライン辞書です。英和・和英の機能もあります(例文の和訳はない)。LONGMANに無いこの辞書のアドバンテージは、"English Grammar Today"というグラマーの解説記事です。例えば"would"のような微妙な助動詞が、文の中でどのような意図でつかわれているかよくわからなくなった時、この辞書を使っています。解説は英語ですが、非常にわかりやすく解説してくれています。

(2C)Oxford (Oxford Living Dictionaries)
 私の3つ目の辞書です。もともとはメインで使っていました。創刊1884年と歴史がある魅力的な辞書なのですが、英和・和英がないうえ、英語の定義文が私には難解でメインでの使用を断念しました。LONGMAN、Cambridgeで適当な例文が見つからないときは、このOxfordで例文を探しています。

(3)ブログ記事
 ブログ記事は、辞書ではわからなかったことー単語の実際の使い方や、二つの語の意味の違い等-を調べるときに使っています。特定のサイトを参照するというよりは、Google検索から結果としてブログ記事にたどり着く流れです。例えば"as"と"because"の違いを調べるときは、Google検索で「as because 違い」で検索します。日本語の記事で適当なものが見つからなかったときは、”as because difference"で英語の記事を検索します。
 このように、困ったときに必ず参照する特定のブログはないのですが、これまで意味を調べてきた中で結構使えたのが「ネイティブと英語について話したこと」「DMM英会話 なんてuknow」「weblio英会話コラム」です。

(4)ビデオ(オンライン)
 前回記事で紹介した「語彙の広がり(出現頻度の高低の混在):自分から話題を振る能力の強化」のための情報ソースです。おすすめのコンテンツは、スピーチやテレビドラマ、または映画です。やはり、熟練のスピーカーや脚本家が練りに練った言葉というのは、こんなことを喋れるようになりたいという気にさせてくれます。ただ、日本語の字幕は、そのままでは使えません。翻訳の目的が、英語を正確に訳すことではなく、日本の視聴者が読む速度を考慮しつつ、すんなりと意味をつかんでもらうことだからです。

(4A) Steve Jobs’ Speech, June 2005
 Apple創業者 Steve Jobsが、2005年にスタンフォード大学の卒業式でした伝説のスピーチです。Youtubeに日・英の字幕付きのものがあります。スピーチは3つのストーリー(”connecting the dots", "love and loss", "death")から成ります。詳細は省きますが、一言で言うと「一日一生」という日本の思想に酷似しています。スピーチの中には珠玉の言葉がちりばめられています。
 テストしながら「もし今日が自分の人生の最後の日だとしたら, 今日しようとしていることは本当にしたいのだろうか?」/"If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?"と自分に問いかけるのも良いものです。

(4B) HOMELAND / (4C) 24 -TWENTY FOUR-
 この2つは、どちらともアメリカの捜査官とテロリストとの戦いを描いたテレビドラマです。私はどちらともHuluで視聴しました。難しいことを抜きにすると、アメリカのドラマは映像のクオリティも高く、スピード感があって面白いです。
 Huluだと、英語字幕、日本語字幕を表示できるので、根気があれば問題集を作れます。ただ、テレビドラマは、スピーチと比べて1話40~50分と長く、1シーズン20話程度、それが5~8シーズンあったりするため、問題集の作成効率という面では課題が残ります。脚本家が練りに練ったセリフが、映像とリンクするわけですから、効率的に問題を作成できれば、効果は高いと思います。ただ、私もテレビドラマの問題作成には少々苦戦しています(効率的な問題作成は今後の課題)。初めは楽しみのための視聴に留めるのがよいかもしれません。



簡単なまとめ(2回分)
 以上、2回にわたって「テスト駆動英語学習(Test-driven English Learning:TDEL)」の問題集の情報ソースを紹介しました。
 前回の情報ソース編(その1)では、問題集の目的―聞きながら話す能力の強化、自分から話題を振る能力の強化―をあげ、そのために、情報ソースの豊富なバリエーション、短い文と長い文の混在、基本的な語彙と興味のある分野の語彙拡張が効果的であるという考えを紹介しました。今回の情報ソース編(その2)では、情報ソース(外部ソース4種類)を具体的に示し、カテゴリー毎に使い勝手の良いところ、悪いところ、私の利用方法を紹介しました。
 次回以降は、実際にどうやって問題集を作っていくか、テストの振り返りをするか等を紹介していきたいと思います。

それではまた! by a2c

2019年4月7日日曜日

テスト駆動英語学習(TDEL)-情報ソース編(その1)

前回記事では、分散学習アプリAnkiを使ったテストファーストな英語学習のさわりを、実際のスマホ画面を使って紹介しました。ただ「どんな情報ソースから問題集を作っているの?」という運用上の疑問には答えていませんでした。ということで、今回と次回の2回にわたって、問題集の情報ソースを中心に紹介します。

本題に入る前に
本学習手法ですが、3月23日の記事「私の英語学習の基本戦略」で挙げた戦略の一つ「テストファースト」を使ってなんとなく「テストファーストな英語学習」と呼んでいましたが、以下の通り命名します。

名称:テスト駆動英語学習(Test-driven English Learning:TDEL)

(注1) 「テストファースト」がもともとテスト駆動開発(Test-driven Development:TDD)から拝借したコンセプトということもあり、学習手法の名称に「テスト駆動:Test-driven」を入れた。
(注2) この学習手法は英語に限らず適用できるが、当面は英語学習にしか使わないので「英語:English」を入れた。

情報ソースとバリエーション
TDELの概要を、情報ソースの視点で表したのが図1です。問題集の情報ソースは、教科書、オンライン辞書、ブログ記事、オンラインビデオ、マイノート(自作の例文)の計5種類あります。ここで重要なポイントは、情報ソースの豊富なバリエーションです。

図1:テスト駆動英語学習(TDEL)の概要

なぜ情報ソースに豊富なバリエーションが必要か?それは、TDELの目的が日常生活も含むいろいろなシーンで思ったことを英語で話せるようになることだからです。例えばTOEICテストの教科書ではビジネスシーンで話す下地はできますが、例えば、地震の時に「机の下にもぐって!/Get under your desk!」と指示したり、お行儀の悪い子供に「テーブルに肘をついたらだめだよ./Don't put your elbow on the table.」と注意することはできません。ということで、情報ソースのバリエーションは欠かせません。

問題集の特性(文の長さ、語彙の広がり)
TDELの問題集の特性を図2に示します(あくまでイメージ図)。グラフでは問題集の特性を文の長さ(縦軸)、語彙の広がり(横軸)と定義して、TDELと2つの教科書「金フレ」「瞬間英作文」を比較しています。
図2:TDELの問題集の特性(イメージ)
注1) 金フレ:TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ(TEX加藤氏 著)
注2) 瞬間英作文:どんどん話すための瞬間英作文(森沢洋介氏 著)
注3) グラフ上の面積は、掲載単語数に比例していません。
注4) 本グラフは、定量的なデータ分析の結果をプロットしたものではなく、筆者の目視チェックの結果と推測に基づいた、イメージ図。

上で述べた情報ソースの豊富なバリエーションから、TDELの問題集はターゲットが絞られている2つの教科書よりも広い領域を占めています。それぞれの教科書と比較すると、TDELの問題集は金フレ(TOEICの学習本)よりも上の領域(文の長さが大きい領域)に、瞬間英作文(基礎的な英会話を訓練する本)よりも右の領域(出現頻度の低い領域)に広がっています。
 ここで「対象が絞られていないため学習効果が低いのでは?」という疑問を持つ方もいると思いますが、私はTDELの問題集には2つのアドバンテージがあると考えています。

(1)問題文の長短混在:聞きながら話す能力の強化
 人の話を聞きながら思ったことを話す力を獲得するには、問題集に短文と長文を混在させるのが効果的と考えます。
  • 短文:思ったことをシンプルに瞬時に言う能力を強化します。これは「どんどん話すための瞬間英作文」と同じコンセプトです。
  • 長文:英文を脳内に保持する能力(リテインする能力)を強化します。TDELのテストでは、自分がこれから話す/すでに話した英文をリテインしますが、相手の話をリテインする能力も同時に強化されると考えます。
上記により、相手の話をリテインしながら、思ったことを瞬時に言う能力を強化します。

(2)語彙の広がり(出現頻度の高低の混在):自分から話題を振る能力の強化
 自分から積極的に話題を振る力を獲得するには、基礎的な語彙(出現頻度高)と興味のある分野の語彙(出現頻度低)を並行して増強することが効果的と考えます。
  • 出現頻度高:これは当たり前ですが、日常会話、仕事で会話するために最低限必要な語彙を定着させます。
  • 出現頻度低:一般的に出現頻度は低いが自分の興味のある分野でよく使われる語彙を増強します。自分の興味のある分野は学習効果も高く、また、積極的に自分から会話するモチベーションになると考えます。
上記により、基礎的な会話力を確保しつつ、自分の興味のある分野に持ち込んで話をする基礎を作ります。

次回の予告
 今回の記事は、テスト駆動英語学習(TDEL)では「どんな情報ソースから問題集を作っているの?」に応えるめに、情報ソースの概要を示しました。次回は、情報ソース編(その2)ということで、具体的に紹介します。

それではまた! A2C

今日の流行言葉ーゴリゴリの(die-hard)

あけましておめでとうございます。 令和2年の幕開けは、若者の流行言葉「ゴリゴリの」です。 例文: 私の兄は、ゴリゴリの映画ファンです。 My brother is a die-hard movie fan. 今回の「ゴリゴリの」は、ティーンエイジャーの息子と娘の会話...